教育・健康教育のパラダイムシフトを求めて

                         植田誠治(聖心女子大学文学部教育学科)

 

1.学校教育の中心的課題として学校保健を位置づける

 学校教育において学力格差はもちろん健康格差も深刻である。いくつかの事例は、学校教育の機能が、子どもの生存や健康を前提にしない限り成立しないことを示している。また教育の目的は「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」(教育基本法)である。学校保健を学校教育の中心的課題として位置づけることが必要である。その際、学校保健を、保健教育(健康教育)、保健サービス(保健管理活動)、学校環境衛生(健康的な学校生活)、学校給食、学校体育、学校安全、学校カウンセリング、教職員の健康などを含む包括的なものとしてとらえる。

2.教育職員免許(いわゆる教員免許)必修科目として学校保健を位置づける

 教員免許取得において「保健体育」、「保健」、「養護教諭」の免許は、学校保健が必修であるが他は選択である。学校保健は、それら以外の教員にも必須の内容であり、すべての教員免許取得のための必修科目として学校保健を位置づける。また校長、教頭、保健主事などの管理職資格には特に必須である。

3.学校における健康教育、とりわけ保健教育の時間数を増加する

 学校における健康教育の中心は保健教育である。現在、定められている保健教育の時間は、小学校34年生がそれぞれ4時間、56年生がそれぞれ8時間、中学校は3年間で48時間、高校は70時間(2単位)である。授業次第では、子どもたちが健康について「気づいたり」「関心を持ったり」「比較・分析したり」「深く理解したり」「納得したり」することができる。しかし、健康問題の変化、情報化の加速、グローバル化の進展、超高齢化社会の到来などは、国民的教養として高い水準の生涯健康知識を求めており、現行の時間数は、あまりに貧弱である。教育課程の再構築が求められる。また内容として、低学年段階では基礎・基本をきちんと押さえ、高学年段階では、自ら意志決定し適切な行動を選択したり、自らの考えを熟していくことなどに、より焦点を絞って系統化を図ることも必要であろう。

4.保健教育担当教師の養成の条件を大胆に整備する

 保健教育の時間数や内容の再構築と並行して、担当教師の力量形成のための条件を大胆に整備していく必要がある。現在、小学校では担任教師が、中学校・高等学校では保健体育教師が中心である。また養護教諭も、特に小学校と中学校において担当することが少なくない(ティームティーチングを含む)。養成機関(大学)での保健教育指導に関係する時間とスタッフが必要である。また、先に述べたすべての教員免許取得者に対する学校保健の必修化、管理職資格のための学校保健の必修化のための条件整備も必要である。