米国「ナショナル・ヘルスエデュケーション・スタンダード」の内容

キーワード:米国,ナショナル・ヘルスエデュケーション・スタンダード,改訂版

はじめに

本稿は,改訂された米国「ナショナル・ヘルスエデュケーション・スタンダード」の特徴を検討するものである。

1.改訂の背景

「ナショナル・ヘルスエデュケーション・スタンダード」が示されたのは,1995年(詳細は1997年)のことである。米国ガン協会がスポンサーとなり,米国健康教育学会,米国学校保健学会,米国公衆衛生学会,保健体育レクリエーション州指導主事協会が協同で作成したものであった。当時のものは,1990年代に始まる米国の教育政策(National Education Goals, Goals2000: Educate America Act)の流れの中で, 健康リテラシー,すなわち「基本的な健康情報や健康サービスを獲得し,解釈し,理解する資質であり,そしてそのような情報やサービスを高める際に活用する能力」を獲得した人間像を基盤としながら,学校の保健教育の7つの基準とそれに付随する行動目標(児童生徒の姿)を示したものであった。
「ナショナル・ヘルスエデュケーション・スタンダード」は,多くの州や学区の保健教育カリキュラムの作成の際に参考とされた。約10年を経て,健康課題と教育現場での効果的実践の知見をふまえ,2007年に(概要は2006年)改訂版が刊行された。

2.改訂版の特徴

改訂版を前回のものと比較した主な特徴は次のとおりである。

(1)意志決定スキルと目標設定スキルを分けて整理し,8つの基準を明示したこと


前回7つとした基準を8つに整理している。8つの基準は前回同様に行動目標的に示されている。8つの基準は次のとおり。1)児童生徒らは,健康を増進するために,ヘルスプロモーションと病気の予防に関連した概念を理解する。2)児童生徒らは,健康行動に関する家族,仲間,文化,メディア,テクノロジーあるいはその他の要因の影響を分析する。3)児童生徒らは,確かな情報と健康を増進する製品,サービスにアクセスする能力を示す。4)児童生徒らは,健康を増進し健康リスクを避けあるいはそれを減らすための対人コミュニケーションスキルを使用する能力を示す。5)児童生徒らは,健康を増進するために,意志決定スキルを使用する能力を示す。6)児童生徒は,健康を増進するための目標設定スキルを使用する能力を示す。7)児童生徒らは,健康を増進するための行動の実践と健康リスクを避けあるいはそれを減らすための能力を示す。8)児童生徒らは,個人,家庭,そして地域の健康を主張する能力を示す。

(2)行動指針を示す学年段階を4つとしたこと

児童生徒らが学習した結果として身につける行動指針を,就学前・幼稚園から2年生まで,3年生から5年生まで,6年生から8年生まで,9年生から12年生までの4つの学年段階で明示した。

(3)保健教育を受ける機会の平等のための基準を明示したこと

すべてのこどもたちが保健教育を受けることができるように,環境と風潮,教えること,カリキュラム,評価,テクノロジー,学習に関する条件整備についての基準を明示している。また「ナショナル・ヘルスエデュケーション・スタンダード」の実行過程での各機関の役割を明確にした。

(4)評価の原則と進め方を明示したこと

保健教育の評価の原則や基準や行動指針に基づく評価の進め方を例示もしつつ明示した。

以上のように,改訂版は,より教育現場での実践を意識して,カリキュラム・授業・評価という一連の枠組みを提供するものとなっている。

3.文献

Joint Committee on National Health Education Standards: National Health Education Standards(2nd ed.)- Achieving Excellence. American Cancer Society, 2007